エノキタケに限らずですが、市販されているキノコは、
『菌床』を使って栽培されているものが多いですね。
7年前、帰省した際に、キノコの栽培施設を見学させていただいたことがあるのですが、
ズラリと並んだプラスチック(ポリプロピレン製)の瓶から、
キノコちゃん達がニョッキニョキで、
「このかわいこちゃんたちをずっと愛でていたい💛」
「ひとつひとつヨシヨシしてあげたい💛」
と、テンション上がりっぱなしだったことは言うまでもありません。

ナメコちゃん🍄
今ではすっかり定着している、この『瓶を使った菌床での栽培法』は、
フランス・アメリカでマッシュルームの栽培を学んだ森本彦三郎 氏が、
おがくず等を入れたガラス瓶でのシイタケ栽培(1927年)と、
エノキタケの栽培(1928年)を発表したことに始まったようです。
同じ頃、長野県では、中学校の生物学教諭が瓶を利用したエノキタケの栽培を試み、
学校で生徒に教えていたのだとか。
熱心というか、ユニークと言うか、私もそんな先生に教わりたかった~!
その生物学教諭、長谷川五作 氏によって、長野県に広まったエノキタケの瓶栽培は、
1931年には、山寺信 氏によってさらなる発展を遂げます。

ナメコちゃん🍄
現在のエノキタケ栽培における重要な工程『紙巻き』は、
山寺信 氏によって考案されました。
キノコが発芽し、瓶の口から数センチ伸びた時に、紙(今はプラスチック製)を巻くことで、
紙の内側で良い湿度が保たれるとともに、
生長を阻害するCO₂濃度が高くなり、傘が大きく育たず柄が伸びるので、
あの細くて長いキノコに生長し、整った束状になるんですね。

エリンギちゃん🍄
そしてエノキタケの白い色、
これは光に当てずに育てているからだと思っていたのですが、
それは間違いで、キノコを製造する企業によって研究開発されたものでした。
瓶を使った人工栽培のエノキタケが、一般に普及するようになったのは、
戦争の影響や特許の関係で、1960年代になってから。
その頃は、光を当てずに栽培することで、
白いキノコ(実際にはクリーム色)を生産していたようですが、
栽培管理が容易ではない上に、店頭で光に当ったエノキタケは黄褐色に色付いてしまう。

ブナシメジちゃん🍄
「どうして白いエノキタケに人気があったのか?」その辺のところはわかりませんが、
光に当てても色が付かない白いエノキタケを開発することは、
キノコを製造する業界にとっては大きな課題だったそうです。
エノキタケの栽培を続ける中で、色の薄い白っぽい株を交配し、
その中からまた白い株を選び出して交配する...
この作業を繰り返すことで開発されたのが、
現在スーパーに並んでいる白いエノキタケなのです。

ブナシメジちゃん🍄
その白いエノキタケの開発に成功した企業は、
その後も研究を重ね、数多くの美味しいキノコを開発されています。
新品種の開発だけでなく、薬理効果の解明にも力を注いでいるそうですよ。
素晴らしいですね~

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